「頼まれると断れない」
「分からないことがあっても質問できない」
「疲れているのに休めない」
「もっと頑張らなきゃと思ってしまう」
そんな働き方の背景には、あなた自身も気づいていない「心のルール」が隠れていることがあります。
結論からお伝えすると、大切なのは、そのルールを無理に変えることではありません。
まずは、
「私はこんなルールを持っているんだ」
と気づくことです。
自分の心のルールが分かると、「どうして私はいつもこうなるんだろう」と自分を責めるのではなく、
「だから私は、こういう場面で苦しくなりやすいんだ」
と、自分を理解することにつながります。
この記事では、簡単なワークをしながら、自分の中にある「心のルール」を一緒に探していきます。
「心のルール」って何?
心のルールって、どういうものですか?


『○○しなければならない』『○○してはいけない』など、自分の中で当たり前になっている考え方のことです。
例えば、
●人に迷惑をかけてはいけない
●頑張らなければならない
●人に頼ってはいけない
●失敗してはいけない
●相手を優先しなければならない
●ちゃんとしていなければならない
こうした考えを「心のルール」として持っていることがあります。
本人にとってはあまりにも当たり前なので、ルールを持っていること自体に気づいていない場合もあります。
「人に迷惑をかけない」は、本当に悪いルールなの?
でも、『人に迷惑をかけない』『相手を優先する』って、そんなに悪いことでしょうか?むしろ、人への配慮として大切な気もします。


そうですね。ルールそのものが悪いわけではありません。大切なのは、そのルールを自分で選べているかどうかです。
例えば、同僚から仕事を頼まれたとします。
「手伝いたいから引き受ける」
「今日は余裕があるし、困っているみたいだから手伝おう」
これは、自分で考えて「引き受ける」という選択をしています。
一方で、
「断ってはいけないから引き受ける」
「本当は余裕がない。でも断ったら嫌な顔をされるかもしれない」
「迷惑をかけてはいけないから、引き受けなきゃ」
こちらは、「引き受けたい」という気持ちよりも、「引き受けなければならない」というルールに動かされています。
行動だけを見ると、どちらも同じ「仕事を引き受ける」です。
でも、心の中では大きな違いがあります。
「したい」と「しなければ」の違い
例えば、
人に配慮する
「相手も大変そうだから、今日は手伝おう」
→ 余裕がなければ断ることもできる。
心のルールに縛られている
「相手を優先しなければならない」
→ 自分が苦しくても断れない。
同じように、
責任感がある
「できるところまで頑張ってみよう」
→ 難しければ相談できる。
心のルールに縛られている
「最後まで自分一人でやらなければならない」
→ 限界でも助けを求められない。
つまり、
「人を大切にすること」と「自分を犠牲にしてまで人を優先すること」は同じではありません。
じゃあ、『人に迷惑をかけてはいけない』と思うこと自体が問題ではないんですね。

そうですね。その考えを持ちながらも、
『今日は難しいから断ろう』
『今回は助けてもらおう』
と選べるなら、そのルールとうまく付き合えているのかもしれません

心のルールを見つけたら「柔軟さ」を確認してみる
自分の心のルールを見つけたとき、
「この考え方をなくさなきゃ」
と考える必要はありません。
代わりに、こんなふうに自分に問いかけてみてください。
「私は、このルールと違う行動も選べるだろうか?」
例えば、
「人に迷惑をかけてはいけない」
と思っていても、
必要なときには「助けてください」と言える。
「期待に応えたい」
と思っていても、
難しいときには「今回はできません」と言える。
「頑張りたい」
と思っていても、
疲れているときには休める。
このように、その時の自分や状況に合わせて選択できることが大切です。
心のルールは、なくすものではなく、
「守らなければならない絶対的なルール」から、「必要なときに選べる考え方」へ。
少し柔らかくしていくイメージで大丈夫です
心のルールは、あなたを守ってきたものかもしれない

じゃあ、この考え方をすぐに直そうとしなくても大丈夫なのでしょうか?
すぐに直そうとしなくても大丈夫ですよ。まずは『どうしてこのルールが必要だったんだろう』と考えてみませんか?

例えば子どもの頃、
「迷惑をかけないようにしよう」
「怒られないようにしよう」
「ちゃんとしていよう」
と考えることで、自分を守ってきた人もいると思います
その時には必要だった考え方が、大人になった今も心の中に残っていることが多いのです
なので
「こんな考え方をする私はダメだ」
と否定する必要はありません。
まずは「自分を守るために身につけてきたのかもしれない」と考えてみることから始めてみましょう。
心のルールは仕事にも表れる
昔のルールが、今の仕事にも関係するんですか?


そうですね。例えば『人に迷惑をかけてはいけない』というルールがあると、仕事で質問したり、人に頼ったりすることが難しくなる場合があります。
例えば、
「人に迷惑をかけてはいけない」というルールがある。
↓
分からないことがあっても質問できない。
↓
一人で何とかしようとする。
↓
仕事を抱え込む。
↓
疲れてしまう。
このように考えると、「私は人に頼れない性格だから」ではなく、
「人に迷惑をかけてはいけない、というルールが働いているのかもしれない」と考えることができます。
自分を見る角度が少し変わってきます。
ワーク|私の「心のルール」を見つけてみよう
ここからは、自分自身に問いかけてみましょう。
正しい答えを出す必要はありません。
「私はどうなんだろう?」
と考えてみることが、このワークの目的です。
▶テキストを合わせて見てください 私の「心のルール」を見つけてみよう
STEP1 最近、仕事で辛かった場面を一つ選ぶ
例えば、
●頼まれると断れなかった
●質問したかったけれど聞けなかった
●休みたいのに休めなかった
●相手の顔色ばかり気になった
●一人で仕事を抱え込んだ
●ミスをいつまでも引きずった
●職場で雑談することが辛かった
上を参考にしながら最近の自分に近い出来事を一つ思い浮かべてみてください。

私は、仕事を頼まれると断れないことが多いです

では『どうして断れないんだろう』と答えを急がず、その時の自分に少しずつ問いかけてみましょう。
STEP2 自分に3つの問いをしてみる
問い① その時、一番心配だったことは何ですか?
「仕事を断ったら……」
何が起きそうだと感じていたでしょうか。(一番心配になったことは何ですか?)
例えば、
「嫌な顔をされそう」
「仕事ができない人だと思われそう」
「相手に迷惑をかけそう」
など、人によって答えは違います。
問い② もし、その心配が本当に起きたら、何が一番つらいですか?
もう一歩だけ、自分に問いかけてみます。
「嫌な顔をされたら、何がつらい?」
「仕事ができないと思われたら、何がつらい?」
ここでも、無理に深く掘り下げる必要はありません。
思い浮かんだことを書いてみましょう。
問い③ そのつらさを避けるために、私はどんな行動を選んでいますか?
例えば、
「嫌な顔をされるのが怖い」
↓
「だから頼まれた仕事を引き受ける」
ということが見えてくるかもしれません。
断れない自分がダメなんだと思っていました。
でも、嫌な顔をされるのが怖くて引き受けていたのかもしれません。


そうやって自分の行動の理由が分かってくると、『ダメなところ』ではなく『自分を守るための反応』として見ることもできますね。
STEP3 私の「心のルール」は何だろう?
ここまで考えたら、自分にもう一つ問いかけます。
「私は、どんなルールを大切にしてきたんだろう?」
例えば、
「人の顔色が気になる」
↓
「相手を不快にさせてはいけない」
「質問できない」
↓
「人に迷惑をかけてはいけない」
「休めない」
↓
「頑張らなければならない」
自分なりの言葉で考えてみてください
最後のワーク|そのルールは、今の自分にも必要?
ここが最後の問いです。
見つけた心のルールを眺めながら、自分に聞いてみてください。
「このルールは、今の私にも必要だろうか?」
必要だと思うなら、無理に変える必要はありません。
でも、
「このルールがあるから少し苦しいかもしれない」
と思ったなら、今の自分に合う新しいルールを考えてみてもいいでしょう。

私には『人に迷惑をかけてはいけない』というルールがありそうです。でも、今もずっと必要なのかな……。
もし今の自分に合うルールを新しく加えるとしたら、どんな言葉にしてみたいですか?

例えば、
これまで
「人に迷惑をかけてはいけない」
↓
これから
「困った時は、人に頼ってもいい」
あるいは、
これまで
「頑張らなければならない」
↓
これから
「疲れた時は休むことも大切」
正解はありません。
自分が「これなら少し意識できそう」と思える言葉を考えてみてください
心のルールを見つけることは、自分を理解する
心のルールは、決して悪いものではありません。
これまでのあなたにとって、必要だったから身についたものかもしれません。
だから、
「この考え方をなくさなきゃ」
「もっと前向きにならなきゃ」
と急ぐ必要はありません。
まずは、
「私はこんなルールを持っているんだ」
と知ること。
そして、
「今の私にも、このルールは必要かな?」
と自分に問いかけてみる。
必要なら大切にする。
少し苦しくなっているなら、今の自分に合った新しいルールを一つ加えてみる。
そんなふうに少しずつ自分を知っていくことが、無理をしすぎずに働き続けるためのヒントになるのではないでしょうか。
さいごに
「どうして断れないんだろう」
「どうしてこんなに頑張ってしまうんだろう」
自分のことは、意外と一人では見えにくいものです。
オンラインカウンセリングでは、仕事や人間関係で起きた出来事を振り返りながら、そのときの気持ちや、背景にある「心のルール」を一緒に整理していきます。
無理に考え方を変える必要はありません。
まずは、「私はどうしてこう感じるんだろう?」を一緒に考えてみませんか。


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